女子中高生向け実験体験講習会「美しき化学の世界 PartⅡ?光る化学反応と触媒の役割?」レポート

科学の未来を創る女子中高生チャレンジ?ラボ

2019/11/07

立教を選ぶ理由

OVERVIEW

2019年9月28日、女子中高生に、理系への進路を選択した際の可能性の幅広さを実感してもらう「科学の未来を創る女子中高生チャレンジ?ラボ ~家族?先生と一緒に知ろう!! 多彩な理系の未来~」のプログラムとして、昨年も好評だった実験体験講習会「美しき化学の世界 PartⅡ?光る化学反応と触媒の役割?」が開催されました。当日は多数の女子中高生と保護者が参加し、現役学生?大学院生のサポートのもと、大学の本格的な設備での実験を楽しみました。

立教大学の理学部は全国平均よりも女性比率が高い

実験体験講習会は、本企画を担当し、当日の司会?進行を務める立教大学理学部化学科の和田亨教授の挨拶で幕を開けました。和田教授は、このプログラム全体について趣旨説明をした後、本企画を立教大学で行う理由や背景を次のように説明。「少子化が進むいま、女性の能力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが、将来の日本を左右する大きな課題となっているにもかかわらず、日本は諸外国に比べて女性研究者の割合が15.3%と非常に低いのが現状です。大学でも他学部に比べて理学部は約27%、工学部になると14.0%と女性の割合が大変低くなっています。一方で立教大学の理学部は、全国平均に比べて女性比率が高いのが特徴。理学部全体では30%、生命理科学科では47%と半数近く、大学院修士課程在籍者を見ても22%が女性です」。
立教大学理学部の卒業後の進路を見ると、男女問わず、情報や製造、教職以外にもサービス、金融、広告など様々な分野に就職しており、未来には多彩な進路選択の可能性があることが示されました。また17%の女性が大学院に進学していることも紹介され、女性の大学院への進学は決して特別なことではないと伝えられました。進路の選び方について和田教授は、「理系の職にしかつけないと思っているかもしれませんが、実際にはそんなことはありません。将来はいろいろな窓口があるので、いま化学が好き、実験が楽しいと感じているのであれば、躊躇することなく化学の道を進んでほしい」とアドバイス。挨拶の後は、理学部、理学研究科の学生で構成される「立教サイエンス?サポーター」、通称RSSと一緒に、お待ちかねの実験の時間です。

化学の現象はアイデア次第で社会に役立つ

「美しき化学の世界 PartⅡ?光る化学反応と触媒の役割?」と題された本企画では、科学捜査にも利用される化学反応「ルミノール反応」を行い、熱も電気も使わないのに光る化学発光と触媒の役割について学びました。参加者は白衣を着て、実験用ゴーグルとゴム手袋を装着。事前に整えられた試薬や器具が机に並べてあったこともあり、本格的な道具の数々を目の前に、参加者は皆さんどこか緊張した様子でした。
試薬として用いられたのはA液「ルミノールと水酸化ナトリウムの水溶液」とB液「過酸化水素水(3%)」と触媒「ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウム」。まずはA液とB液を混ぜ、触媒を加えたときの反応を観察します。実験室の電気を消して真っ暗にしてから、皆で一斉に触媒を加えたところ、溶液が青く発光。実験室に「きれい!」という声が響きました。その後、光らなくなった反応溶液を紫外線ランプにあてると、再度、溶液が発光。その光りを各々で観察し、実験記録をとります。続いて、触媒溶液の量を変えた2つの溶液で光り方を比較したり、色素を加えて光の色を変えたり、違った角度から実験を重ねました。和田教授が「今日の実験は“SNS映え”します」と冒頭に宣言した通り、反応溶液が放つ光はとてもカラフル。発光の様子をスマホで撮影する参加者も多く見られました。
実験のまとめとして、化学発光とは、化学反応のエネルギーで不安定な状態ができ、それが安定な状態に戻るときに発光する現象であること、触媒には化学反応を速くする役割があること、「混ぜると光る」という現象も、アイデア次第で科学鑑定やケミカルライトとして役立つことを、和田教授が解説。アイドルのコンサートなどで使用されるケミカルライトにもこの化学反応が活用されているという説明もあり、参加者の皆さんにも、化学の身近さ、そして今回の実験の意義を感じていただけたのではないでしょうか。実験後は、2班に分かれて、立教サイエンス?サポーターと一緒に測定室、実験室、学生測定室の3カ所の見学と交流会を行いました。

実験のときのワクワクした気持ちを大切に

最後に、参加者の皆さんに、本イベントに参加した感想を伺いました。保護者からは、「サスペンスドラマなどで見るルミノール反応についてメカニズムを知ることができ、私としても大変勉強になりました」「子どもの興味をひく内容で、きっと実験をより好きになってくれたと思います」「立教サイエンス?サポーターの皆さんが頼もしく感じました。娘の将来を見たようです」と、ご自身も楽しんでいた様子が伺えました。また実験に参加した高校生からは、「本格的な道具での実験に最初はとまどいましたが、反応を見るうちに夢中になっていきました。実験が好きだとあらためて実感できました」「夜店やライブで使うケミカルライトに化学反応が活かされていると知り、驚きました」「先生の“皆さんも自由な発想を大切にしてください”という言葉に励まされました」と、半日の体験のなかで大きな意義を感じられたようです。
また、交流会では理学部に進んだ理由や、現在進めている研究内容などテーマに、参加者と立教サイエンス?サポーターがトークを行いました。とくに盛り上がったのが、「どんな中学生だったか」という質問。立教サイエンス?サポーターはそれぞれ、「チアダンスの練習に一生懸命だったので、部活と勉強の両立に悩んでいました。どの勉強法が自分に合っていて時間を無駄にしないのか、いろいろ試していたことを覚えています」「私が中学生の頃は大学のイベントを調べたことはなかったので、皆さん、ここに参加しているだけですごいと思います」「私も吹奏楽部の練習が週7回とハードだったので、テストはほぼ直前に猛勉強するだけでした。ただ宿題だけは頑張って提出していました」と自身の中学時代を振り返りました。部活と勉強の両立については、和田教授からもこんなアドバイスが。「忙しいときほど集中して授業を受けて、学校の課題を一生懸命やりましょう。やるべきことをきちんとやっていれば、他の時間は遊びや部活など、別のことに使っていいんです。オンとオフの切り替え、つまりメリハリが大切です」。

プログラム終了後、参加者に参加証が手渡され、本日の実験体験講習会は終了です。最後に和田先生から化学の魅力と、理系を目指す女子中高生へのメッセージをいただきました。「女性でも専門の研究職に就いて活躍している人が非常にたくさんいます。もちろん様々な職に就いている人もいます。実験には難しい理論がつきものですが、それでも目の前で色が変わったり、変化が起きたりするのを見るのは本当に楽しいです。私自身、それがまだ一番楽しくてワクワクします。皆さんもぜひ今日の体験を通して、化学を、そして実験を、さらに好きになってほしいと思います」。

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